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悪役令嬢、パーティー会場で倒し終わる
「………ふぅ」
「終わり、ましたわね」
エリーたちは最後の黒ずくめを打ち倒し、その場にへたり込んだ。
だが、エリーは先に行動を行う。
近くにあったテーブルクロスをとり、倒した黒ずくめの1人に近づく。
その様子を、バリアルは不思議そうに眺めた。
「一応、1人だけ生かしておきましたわ。拷問を行うなら、この方にでもやって下さいまし」
そう言いながら、エリーはテーブルクロスで黒ずくめの1人の腕を縛る。
その様子を見ていたサッド公爵が、ガクンと膝を折った。
その様子は、さながら恐怖から解放されたことの安心感からのように見えた。
だが、そんなこと彼が考えるわけがない。
実際は、エリーを殺せなくて絶望しているのだ。
護衛が出てくるならまだしも、エリーとバリアルだけで片付けられてしまったから。
「公爵様。お具合でも悪いのですか?」
膝をついたサッド公爵に、エリーが優しく微笑みかける。
その姿が、サッド公爵からは絶望の象徴に見えたのであった。




