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悪役令嬢、パーティーで弟が紹介される
パチパチパチ。
拍手が響く。
アシルドの挨拶が終わったのだ。
父親はアシルドを家族の元へ帰させて、貴族たちに呼びかける。
「我が家も、コレで安泰と言って過言ではないだろう。アシルドのことを公表するのはここが初めてだから、何かあるなら行動は早くすることをお勧めするよ」
公表するのは初めて。
行動を早くすることをお勧め。
言葉には出していない真意を訳すと、縁談とか決まってないから。今なら成功する可能性があるよ。
と、言うことである。
だが、残念ながらほとんどの貴族は令嬢を連れてきていない。
なぜなら、エリーとの婚約を目的に、息子を連れてきているからである。
そのため、アシルドはあまり縁談で囲まれるようなことはない。
父親が一応配慮したのである。
ーーまあ、アシルドが囲まれないのは良いんだけど。
エリーはそう思いながら、周りを見回す。
エリーがどこを向いても、貴族の子息ばかり。
ーー私の方の縁談が多すぎるのよぉぉ!!!




