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悪役令嬢、船乗りの心も掴む
誤字報告ありがとうございます。
「申し訳ございません。エリー様。20隻以上の船に囲まれまして。向こうのモノたちのモノも手練ればかり、私たちは脱出できましたが、船の方は」
エリーにそう言った船乗りは、壊れた船と死亡したモンスターたちを見て表情を暗くする。
彼らは、エリーの大事な魔物船を壊してしまったのだ。
「大丈夫ですわ。船より、あなたたちの命の方がよっぽど大事。あなたたちが生きているだけで十分良いのですの」
「「エリー様!!」」
エリーの優しい言葉に、船乗りたちは涙を浮かべる。
自分たちがここまで思われているのだと知り、感動したのだ。
「港に着いたら、今回の件を伝えなければなりませんね。連絡の方は任せましたわ」
「はっ!承りました!」
エリーは、船乗りたちに事情を話すように言っておく。
これで、帰りに海上での暗殺を行おうとはしないだろうと、エリーは考えた。
「なんということだ」
蒼白な顔でサッド公爵は呟く。
彼にも、エリー殺害の作戦が失敗してしまったことは理解できたのだ。




