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悪役令嬢、これはあなたにも
「じゃあ、勝負でもしましょうか?」
「『勝負?』」
クレアは提案する。
ここでさらなる時間稼ぎを図ることにしたのだ。
2人が言い争っている今なら、
「どちらにもこれは止められないわけだし、チャンスを上げようと思うのよ」
「チャンス?止めるチャンスってこと?」
「そうよ。私もこれを起動したら死んじゃうかもしれないから」
『ほぉ。勝負を行うことで躊躇する気持ちを振り払おうということか』
闇の精霊には伝わったようである。
クレアはさらに笑みを深めた。
そして、
「リム。これはね、特にあなたにメリットはあるのよ」
アンナリムへ告げる。
そう告げる表情は、どこまでも本心は覆い隠されていそうだった。




