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悪役令嬢、船が襲われた頃は
船が襲撃された頃。
エリーは船の中にいた。
ズズズッ。
「お茶がおいしいですわぁ」
エリーは優雅にお茶を飲んでいた。
その様子は、襲撃など無かったかのようである。
それも当然。
本当にエリーは襲撃されていないのだから。
「エリー様。あちら、何か見えますよ」
エリーがお茶をすすっていると、専属のメアリーが何かを見つけた。
他の数名も気づいたようで、そちらの方を観察している。
「……あれは!?」
エリーは驚いたような声を出す。
その目に映ったのは、
「サッド侯爵様!脱出用ボートが浮かんでいます!救出の許可を!」
「え?う、うむ。良いぞ」




