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悪役令嬢、聞きたくない現実
アンナリムはモテる。
間違いなくモテる。
加護の力でもともと顔はいいし、クレアよりも性格的に親しみやすい。
「私よりモテるでしょ?」
「う、うぅ」
「ねぇ。なぜあなたは、その事実から目をそらしたの?」
「………………」
アンナリムは沈黙する。
言葉が出て来なかった。
彼女が現実から目を背けた理由が。
「言えないなら、こちらで推測するわ。あなたは私が妬ましいだけじゃなくて、実際は」
「違う!」
クレアが推測を述べる途中。
アンナリムは叫ぶ。
クレアの推測など聞きたくはなかった。




