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悪役令嬢、成長を実感して
交渉の末。
エリーは取れるだけ取った。
ただ、
「いやぁ。ほんとうに今回は申し訳なかった」
「そういう割には、涼しい顔ですわね」
「いや、そんなことはないけど」
「けど、なんですの?」
イルデの表情は険しくない。
とても大きな金額を取られたというのに、だ。
なぜなら、
「エリーを相手にしてここまでで済んだんだから、僕も成長したってことでしょ」
「………それをここで言いますの?」
謝罪の場で言うことではない。
だが、それは間違いないことでもあった。
今回の件、昔であればきっと教会は………。




