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悪役令嬢、敵地へと足を踏み入れる
船に乗って、サッド家の領地へ行く日。
そして、その日は襲撃を受ける日でもあった。
エリーたちは、馬車に乗って港まで行っていた。
そこには、サッド家公爵の姿が。
「お久しぶりでございます。公爵様」
「来たか」
腕を組んで仁王立ちしたサッド家公爵が言った。
真剣な表情をしているが、頬がヒクヒクしている。
ここでエリーを潰せると思っていて喜んでいるのだ。
エリーは冷めた目でその顔を見る。
(この程度も隠せないなんて、この前は少し評価したんだけどね)
エリーは少し公爵に失望した。
だが、公爵が喜ぶのも仕方が無いのだ。
なぜなら、彼らにとってエリーは、自分たちの支持を奪い、金を奪い、人を奪っていく、今まで出会ってきた中で最強の敵なのだから。
「それでは、早速船に乗ってくれ」
サッド家公爵はそう言って、船へと誘導する。
エリーは、意を決して船へ1歩を踏み出した。




