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悪役令嬢、縛られた槍
屋敷の地下にあったもの。
それは、怪物などではない。
何重にも鎖の巻かれた、
「槍、か」
「な、なんだかまがまがしい気配がするが……」
「ふむ。ここまで頑丈に縛り付けられていると言うことは、危険だと言うことだろう」
「な、ならば迂闊に……って!?すでに触っている!?」
貴族が迂闊に触れないようにとか言い出す前に。
すでにクレアは触っていた。
ペタペタと槍の感触を確かめ、
「呪いは感じられんな」
「そ、そんなことまで分かるのか!?」
「うむ。当然だな。……だがこれは」
クレアは顔をしかめる。
幸いなことにその顔は、貴族に見られることは無いが。




