悪役令嬢、裏で習う
ちょっと早起きしました。
べ、別に徹夜なんてしてないんだからね!
「それでは、昨日言ったように基本の型から反復練習を行いましょう」
ヒューズールはそう言いながら、小さな木刀を渡す。
そのサイズは本当に小さく、ナイフほどの大きさである。
エリーは静かにそれを受け取り、2日前から習ってきた基本の型を1つ1つ正確に行っていく。
実はエリー、バリアルには内緒で短剣術を習い始めたのだ。
理由は勿論、暗殺者ならばナイフの方を使うとエリーは考えたからだ。
ただ、きちんと建前も用意してある。
「ドレスの中に仕込むなら、確かにナイフくらいが丁度良いですな。まだまだ荒いですが、パーティーまでにはそこそこの強さにはなれるはずです」
ヒューズールは真面目に言う。
エリーも真剣な表情でナイフを振り続けた。
当然、セカンドと言った護衛のメンバーにも覚えるようにさせ、クラウンのメンバーにも伝えるように指示してある。
こうして、クラウンの戦い方は洗練された騎士の戦い方へとなっていくのであった。
ーーこの、力を入れないようにしながらも、そこそこの速さは出すって言うのが難しいのよね。
エリーは真剣な表情でこんなことを考えていた。
エリーが真剣なのは、手加減の方だった。
それでも、以前よりは若干手加減しやすくなっている。
なぜなら、
《スキル『手加減LV8』が『手加減LV9』になりました》




