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悪役令嬢、手のしびれを
「はっ!」
キンッ!
金属音が響く。
「っ!?」
エリーの手から、剣がはじかれていた。
空中に飛ぶ剣を目で追うエリーに、バリアルが剣を向ける。
「参りましたわ」
エリーはそう言って両手を挙げる。
こうして、両者の戦いは終わった。
「よし!今日の訓練は終わりです!」
それと同時に、ヒューズールが訓練の終わりを告げる。
エリーは手がしびれたような演技をしながら、その場に座る。
「痺れがとれるまで休んでおりますので、お兄様は、アシルドに屋敷の案内の続きをお願いしますわ」
エリーがそう言うと、兄弟たちは心配そうな表情をしながら、部屋から出て行った。
そして、足音が遠くなったところで、エリーは振り返る。
「それでは、今日もお願いしますわ」




