3512/3881
悪役令嬢、誰もが悩みを
クレアも手をこまねく間に事態は進んでいく。
カヤは準備を進め。
そして、
「リム。今度ここに遊びに行かない?」
「……やめとく」
「あら。そう。じゃあ、お土産でも買ってこようかと思うんだけど」
「大丈夫。いらない。ありがとねクレアちゃん」
口先だけの感謝の言葉。
それが、アンナリムからこぼれた。
アンナリムもまた、抱える闇が深くなっている。
「最近は気をそらすのも難しくなってきたし……」
「アンナリム、見たことないくらい表情が固いッスからねぇ」
「……気が重い」
今、誰も笑うことができない。
誰もが悩みを抱えていた。




