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悪役令嬢、運が悪かっただけ
この件は誰かが悪いわけではない。
誰かが誰かが好きになることが、悪いことではないように。
ただ、運が悪かっただけなのだ。
「この時期に起こるのがねぇ」
「時間があれば良かったんスけど」
「この状況だとどうにもねぇ……」
「私が関わると余計にややこしくなりそうッスし」
ギービーができることも多くはない。
今のアンナリムの精神状態では、余計に刺激してしまうだけ。
この状態ならばクレアが時間をかけて話をする必要があるのだが、
「無理なのよねぇ」
「無理なんスよねぇ」
時間がない。
とにかく足りない。
できるのは、面倒なことにならないよう祈ることばかり。




