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悪役令嬢、ヤバい人を感じる
「僕、勉強とかも全くできないし、体も弱いし。お姉ちゃんにはすぐに見捨てられると思っていたんです」
アシルドは暗い表情で言う。
そんなアシルドに、バリアルはどう接してあげれば良いのか分からず、
ぽんぽん。
と、頭を叩いてあげるしかできない。
それでも、アシルドの顔は柔らかいモノへと変わっていく。
ここに、兄弟の温かい絆が芽生えた。
ーーはぁ。はぁ。アシルド様をバリアル様が優しくリードしてあげる?……いい!それいい!
………その絆を、ちょっと勘違いしているモノもいるが。
曲解しているモノは、あまり表情にその感情を出さない。
ただ、エリーにはその感情が読み取れていた。
なぜなら、ゲームでの知識があるから。
直接的な表現ではなかったが、ゲーム内でもそういう風にとれる表現がチラホラ。
ーー私にも優しいし、少しくらいはお手伝いしてあげましょう。
エリーはキシィと話しながら、そう考えた。
「………それでは、続きはまた今度お話しましょう」
「え、ええ。そうね。助かったわ。エリー」




