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悪役令嬢、鞭であることを
時間は掛かった。
それこそ演技中のエリーの能力は低いのだから。
だが、それでも、
「な、なんとか逃げ切りましたわ」
「お、お疲れ様」
「本当ですわ。何ですの、あれ?」
「……さぁ?僕たちとも姿をハッキリと見たわけではないから」
首をかしげる友人達。
ハッキリとその姿は確認していないが、見ていないわけでもない。
ただ、見たからと行ってそれが何かは分からない。
「まあ、今のはカヤの勝手な行動の結果だね」
「エリーの責任は問われないと思うよ」
言えることはそれくらいだった。
解放された存在に関しては、何も言えない。
彼らは、まだまだ自分たちが無知であることを知るのだった。




