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悪役令嬢、知っているからこそ
クラウンが動いている。
それで、エリーが助からないわけがない。
と、クラウンに所属する友人たちは考えている。
「……いや、クラウン様が死ぬわけないよね」
「ですよねぇ」
「気付かせないためだから仕方ないんだけど」
「あんなこと言われると、ちょっと笑っちゃう」
救出と銘打って誤魔化しのために動くクラウン達。
彼女たちの口元には苦笑が浮かんでいた。
エリーに心配する暇があるなら、自分の身を案じた方がマシだ。
「薬局に任せるなら安心かもね」
「僕たちが行くより何倍もましだろうね」
それなのに、クラウンに所属する友人達は必死に取り繕う。
それが事実を知る者達にとって面白いことだった。
知識があるほど、この世界は楽しめる。




