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悪役令嬢、睨むことしかできない
ゆっくりと進んでいく。
そして、カヤは苛立ちを募らせていた。
ゲームなら、もっと早く進めるのに、と。
「エリー。足元は大丈夫かい?」
「問題ありませんわ」
「よければエスコートでも……」
「それには及びませんわ」
和やかに話をするエリーたち。
その様子もまた、カヤの苛立ちを募らせる要因となる。
自身が好意を寄せるアロークスもまた、エリーと仲良さげに話をしているのだから。
「エリー。最近の政策ノ話なんだけど」
「はい。何ですの?」
これでは、婚約破棄が起きない。
自分がアロークスと婚約することもできない。
だが、カヤには睨むことしかできなかった。




