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悪役令嬢、魔物船を出張させる
売却が決まってから1週間。
数日は抗議の声が大量に届いていた。
だが、4日しないうちにそれは1つも無くなる。
理由は、お詫びに関する手紙を送ったからだ。
「全ての家が、アレで納得してくれたのか」
父親が考え込むような声で呟く。
全ての家が納得するとは考えていなかったのだ。
だが、先ほどの通りお詫びの手紙を出してからは全く抗議が来なくなったのだ。
そのお詫びの内容は、
「魔物船の貸し出し。……そんなに魔物の人気は高いのか?」
父親は首をかしげる。
そう。お詫びの内容はそれだけ。
だが、それだけで全ての家が納得してしまったのだ。
父親は首をかしげることしかできない。
そんな父親に、エリーは解説した。
「理由は簡単ですわ。魔物船は子供からの人気が非常に高いんですの。そのため、各地から家族ごと船でこちらの領地までやってきますの。その数は、私たちが用意した船が足りなくなるほどですわ。そして、子供というのは次の労働力。こういうときに子供に楽しませておいて、領主たちへの忠誠心が落ちないようにしようというのが、了承された理由だと予想しておりますの」




