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悪役令嬢、売却理由を語る

サッド家からの帰り。

エリーたちは馬車に乗っていた。


エリーとサッド公爵との会談中は、ほとんどしゃべらなかった父親が口を開く。


「エリー。大丈夫なのか?」


少し心配そうな声色。

今回エリーが会談で失敗したせいで、父親への収入に打撃が加わるという警戒をしているのだと予想された。


だが、エリーはそれにキョトンとした表情になる。

それから、おかしそうに肩をふるわせた。


「エリー?」


父親は笑い出したエリーに、気でもおかしくなったのかと首をかしげる。

しばらくすると、笑い終わったエリーは語り出した。


「大丈夫ですわ。お父様。あの事業に100兆の価値なんてございませんもの。私としても、できれば来年に100億ほどで売るつもりでしたわ」


「ほう。売ってしまうつもりだったのか。なぜだ?」


父親は解説を求める。

エリーは少し考えてから言った。


「まず、あの事業は色々と準備や点検などをしなければならず、時間が掛かりますの。とても私では手に負えるような事業ではなくなってしまったんですわ。それに、移動用ですから、このまま続けていけば、転移陣を持つ教会と敵対関係になってしまう恐れがありましたの」

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