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悪役令嬢、売却の条件を言う

「どんな条件なのかね?」


サッド公爵が、エリーを見下すように見つめる。

その姿にはエリーも圧を感じた。


 ーーまあ、公爵家だし、威厳が身につくのは当然ではあるわね。

エリーはその圧を真っ向から受け止め、かわいらしく笑顔を浮かべる。


「条件は、出航時間や到着時間を前日までに全てこちらに伝えて頂くと言うことですわ」


微妙な条件に思える。

サッド公爵も、そう判断した。


だが、

 ーー待てよ。この天才と言われる小娘が、そんなどうでも良いような条件を出すわけがない。これには、きっと裏があるはずだ。


と、すぐに疑いの目をエリーに向ける。

エリーはその様子から、ある程度サッド公爵の考えたことを読み取った。


 ーー私のことはある程度評価しているみたいね。なら、それを利用させて貰いましょう。

エリーはそう考え、笑顔を浮かべる。


「大きな条件はそれくらいですわ。だって、私の売る会社は、旅行用運送会社ですもの。港の停泊料や燃料費など、必要なものの値段を考えれば、それ以上の要求など通るとは思っておりませんわ」

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