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悪役令嬢、会社売却の席を設ける
「それで、会社売却に関する話し合いをしたいとサッド家から言われているんだが」
父親は顔をゆがめながら言う。
父親も、他家に売りたくはないのだ。
だが、10兆で売ると言ってしまった手前、100兆を出すと言われれば断れるわけがない。
2人はそろって暗い表情をした。
「まあ、会談は致しましょう。私も、それまでに色々と考えておきますわ」
「ああ。そうしてくれると助かるよ」
エリーは父親の部屋から出ると、急いで必要な書類をまとめてゆく。
いかに無茶な要求をするかで、相手の買いたいという気持ちを折ることができると思うから。
「100兆。悪くはないんですけど、出所が気になりますわね」
エリーは、サッド家が提示してきた100兆がどこから出てきたのか気になった。
サッド家の1年の利益は数億。
とてもではないが、100兆など貯められるような利益は出ない。
何百年とその利益を上げ続けたとしても、不可能な額だ。
ならば、他の場所から金は出ていると考えられる。
考えられる候補は、
「教会、かしら?」




