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悪役令嬢、情報の対価を要求する
「私、ご褒美に商会を幾つか買収したいんですわ」
「商会を、買収?」
父親は首をひねる。
だが、すぐにハッとした表情に変わる。
「今回の件で打撃を受けた商会を買うということか!?」
父親は驚いたように言う。
エリーはそれに、黒い笑みを浮かべて応えた。
「お父様から商会への打撃を聞いてしまいましたので。お父様から、この機会を逃すなと言われているのだと思ったのですが」
「………ははっ。末恐ろしいな。だが、買収くらい私の許可が無くてもできるだろう」
父親はそう言って、エリーの目的を探る。
エリーは首を振った。
「私が主導でやらせて頂いてますが、書類上とはいえ責任者は、まだお父様ということになってますわ。大きな動きをするなら一応言っておいた方が良いと思いまして」
「そうか。………そういえば、最近他の公爵家から、船の会社を売って欲しいという風に懇願されていてな。非常に面倒くさい」
「あら。そうなんですの?では、10兆出せば1つだけ売ると言っておいて下さいませ」




