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悪役令嬢、父親へ報告する
「内容は?」
父親が疑うような目でエリーを見てくる。
急いで集めてきた情報で、たいした情報は無いと思っているのが見て取れた。
「はい。イルデの教育係が消えたそうです。それと併せてなのですが、王族方の教育係も消えてしまったらしいのです」
「教育係が?……なるほど。教育係に目を向ける必要があるということか」
父親は下を向いて考え始める。
エリーはそんな父親がどう考えるのか推測しながら、父親を観察した。
「よし」
しばらくして、父親は顔を上げる。
ーー前もこういうことがあったわね。この人は、周りを忘れて考え事に没頭する癖があるようね。
「なるほど。助かった。これからも引き続き頼むぞ」
「分かりましたわ。でもその前に、今回のご褒美が欲しいですわね」
「ご褒美?」
父親の表情が変わる。
かなり警戒しているようだった。




