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悪役令嬢、教皇でも
ゴォンゴォンと鐘の音が響く。
エリーは今、1人の少年と共に礼拝堂の中にいた。
カップルが鐘の音を聞くと幸せになれる、と言うことで有名な。
「エリー。君のお陰で、僕は教皇になれた」
「そんな事はありませんわ。私がいなくとも、きっとできましたわ」
「そんな事は無いよ。エリーがいたからだ。あのとき、まだ僕が幼いと言っても良いときに、協力を申し出てくれたエリーがいたから、俺はここに居るんだ」
「そんなことは無いと思いますが」
エリーは否定する。
ただ、彼女が彼の心の支えとなったのは確かである。
彼はエリーの瞳を見つめ、
「エリー。俺は君のことが好きだ。婚約者に、なってくれないか?」
「お気持ちは大変嬉しいですわ」
「……そうか」
「ですが、お断わりさせて頂きます」




