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悪役令嬢、勝てなくない?
暴力も権力も財力も。
あらゆるものをエリーは持っている。
だからこそ、
「え?無理なんじゃないですか?」
「無理とは言わないけど、相当厳しい物があるわよ」
「そこで絶対無理って言わない辺りが師匠らしいです……」
カヤには勝ち筋が見えない。
どうしたって負ける未来しか見えないのだ。
「こういう場合って、正面からは勝てないから暗殺者を送ったりするものだけど……」
「ん?何か問題あるんですか?」
「確かエリー様の護衛でそっち方面にお強いのがいたはずなのよね……」
「あっ……」
「王国最強と言われるハアピ家の暗殺者を全員拘束したとか言う噂もあるし」
カヤの頭の中で思い描いていた、いくつもの未来が崩れ去っていく。
マショウアメンから戦っても、裏をかきに行っても、勝てるわけが無い。




