悪役令嬢、自分の手から国王を
「お前は、俺の目指すところじゃない」
頭をなで続けられているロメルが、突然そう呟いた。
いきなりですぐには意味が分からなかったが、エリーはとりあえず頭をなで続ける。
ーーそういえば、サードが教育係も火傷蜥蜴だって言ってたわね。その教育係が、私を理想としないように洗脳していたんだったかしら?
エリーはそこまで考えて、ロメルにかける言葉を決める。
「ロメルの言うとおりですわ。確かに、ロメルの目指すところは私ではありません。ロメルが目指すべきは、私より上ですわ。私など、簡単に超えて頂けなければ」
エリーが優しく言うと、ロメルはガバッと顔を上げた。
その顔は驚愕に染まっている。
「何を驚いておりますの?あなたは王となるのですわ。金も権力も、私より断然上なのです。私より大きなことをできるのは当然ですわ」
「……不安だ」
エリーの言葉に、ロメルは1言呟いて返す。
ーー不安ねぇ。権力を持つことが不安なのか、それとも結果を出せるのか不安なのか。どちらかは分からないけど、
「不安ですか?でしたら、それをお友達に相談されては如何かしら?あなたには、あなたに寄り添える友人がいるんですわよ」




