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悪役令嬢、帰り際に話す
「それじゃあ、今日はこの辺りで」
「本日はお招き頂きありがとうございました」
エリーとイルデは、王族たちに別れを告げる。
見送られながら、2人は部屋を出た。
「イルデ。何か気づきまして?」
部屋から出た直後、エリーは尋ねた。
突然だったにもかかわらず、イルデは真剣な表情で頷いた。
「ロメル王子の様子。少しおかしかったな」
「そうですわね。少し今のロメルは危ない気がしますわ。イルデも、関わるときには注意して下さいまし」
「ああ。分かってる」
2人は、エリーに異様に食いついてきた第1王子のロメルに、少し引っかかりを覚えたのだ。
エリーへの今までの態度では、あんなことは考えられなかった。
何かおかしい。
だが、その原因までは掴みきれない。
「友達を疑わないといけないなんて、辛い世界ですわ」
「それを、友達からの頼みを断ったエリーが言うのか」
2人は視線を合わせる。
そして、肩をふるわせて笑った。




