悪役令嬢、こじれた関係を知る
「……」
エイダーは何も言わずにうつむいてしまう。
エリーは、これ以上踏み込んでも成果は出せないと感じ取り、あえて外側から攻めることにした。
「ねぇ。エイダー。私、何か嫌われるようなことをやってしまいましたの?私悩んでいるのですけど、さっぱり思いつかなくて。何かしてしまったなら、謝りたいんですわ」
感情に寄り添った言い方。
エイダーのような幼い子供、いや、大人でも、正論だけで探っても話をしてくれないことは多い。
そんなときにどうするかと言ったら、情に訴えかけることくらいだ。
エリーの言葉にエイダーは少し体を動かしたが、顔を上げることはない。
エリーは、安心させるようにエイダーに抱きついた。
すると、しばらくして、エイダーは絞り出すような声で言った。
「エ、エリーが。教会のイルデと最近仲が良いって聞いて。僕たち、教会とあまり関係が良くないから、嫌われちゃうんじゃないかと思って」
ーーあっ!そこっ!?
エリーは心の中で驚いた。
ただ、その驚きは表面には出さず、エリーは優しい笑みを浮かべた。
そして、エイダーの頭を撫でる。
「大丈夫ですわ。イルデと最近会っているのは、教会との不和を解消するためですわ。イルデに、私たちと敵対しないように誘導するよう頼んでいるんですの」
実際そういう話もしているため、嘘ではない。
が、2人の話している本題は、それではない。




