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悪役令嬢、待てをされる
「お父様!私は、きちんと1億以上の利益を出しましたわ。約束通り、どなたかの名前をお貸し頂きたいのですが」
エリーは目を輝かせて言う。
父親は、そう言えばそんな約束だったと、約束を思い出しながら、手でエリーを制す。
「落ち着け。後、数日すれば連れてきてやる」
「数日ですか?分かりましたわ」
エリーは首を縦に振る。
ーー弟、まだ来ないのねぇ。
エリーは心の中で、現在闘病中であろう弟に思いをはせた。
そして、自分が稼いだ金で、治療費が払われるのであろうということにも。
ーー自分で稼いだお金で、自分を殺しかねない命を救うって、変な気分だわ。
エリーは、ゲームでエリーが殺されるシーンを思い出す。
エリーは弟に毒を盛られて死ぬのだ。
まあ、そこに行くまでに紆余曲折あるわけだが、死へ直結する原因はそれ。
ーー今のうちに私に懐かせておかないとダメよねぇ。まあ、毒の耐性はかなり付いてるから良いんだけど、愛に頭を染められた人が何をするのか分からないから困るわ。
エリーの頭の中では、弟から狙われないための方法が幾つか浮かんでいた。




