275/3881
悪役令嬢、時はすぐに過ぎる
エリーは、表ではいろいろな事業に手をつけたり、剣術をしたり、勉強をしたり、王族たちと友好を深めたり、たまにイルデから相談を受けたりして過ごす。
裏では、盗賊を狩ることがほとんどだった。
そんなことをしている内に、約1年が過ぎた。
そして、今日は、あの日である。
「エリー。報告をして貰おう」
父親が冷たく告げる。
エリーは軽く頷き、資料を取り出した。
「こちらです」
父親は手渡された資料を眺める。
そこには、この1年間の収入が書いてあった。
1年間で1億稼ぐことができれば、エリーは他の人の名前を借りて領地の経営ができる。
だが、船の建造には、時間も予算も掛かった。
半年で船は完成したものの、
「9000万か。残念だったな」
「そうですね。残念です」
エリーはそう言ったが、その顔に驚きの感情は表れていなかった。




