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悪役令嬢、爆弾を仕込む
「そんな組織が……」
イルデは考え込むようにして、視線を机に落とす。
そんなイルデに、エリーはさらなる情報を手渡した。
「そして、最後は提案なんですが、聖女を召喚しませんこと?」
「………は?聖女?」
エリーの提案を受け、イルデは口をぽかんと開けた。
全くエリーの言いたいことがわからない様子である。
聖女というのは、ゲームの主人公のこと。
主人公は、聖女という役割を与えられ、異世界から召喚されるのだ。
そして、その聖女を召喚するのが、教会の役割の1つである。
エリーとしては、その召喚を起こさせなければ危険にさらされることは無いと思ったのだが、実はそうでもないことをこの世界で暮らしていて分かったのだ。
聖女の役割は、聖なる結界を作って、魔族からの進攻から世界を守ること。
エリーには、その魔族たちを全て倒すことは厳しい。
だからこそ、聖女という存在はエリーにも必要なのだが、
「聖女は聖なる心を持つモノ。あなたが教会の危険性を伝えれば、協力してくれるはずですわ」
「………なるほど。聖女を利用するのか」




