悪役令嬢、ちょっとだけ手伝う
「なっ!?そんな理屈がまかり通るとでも!」
「まかり通りますわ。子供という立場は、結構使い勝手が良いんですのよ」
イルデは悔しそうに顔をゆがませ、エリーは微笑む。
両者には。圧倒的な経験の差が存在した。
「まあ、でも、私から少しだけ良いことを教えて差し上げましょう」
エリーは、流石にこのまま追い返すのもかわいそうに感じたので、情報を与えることにした。
ーー相手は子供だし、そんなにいじめすぎるのも良くないわよね。
「まず、教会と敵対している勢力として、薬局というモノが存在しますわ。そちらと上手く協力すれば、教会の力を削ぐことは可能なはずです」
「薬局、か。協力はしたいが、あそこも教会と同じようになってしまわないか心配だね」
エリーの言葉に、イルデはあまり食いついてこない。
ーーまあ、まだ情報はあるわけだし、教えられるモノは教えてしまいましょう。
「イルデ様は、アロークス殿下が誘拐されたことをご存じですか?」
「ああ。知っているが?」
「これは、私が個人的に入手した情報なんですが、実は、その誘拐犯を殺害したのは、騎士ではないらしいんですの。何でも、騎士とは違う組織が動いたらしいですわ。しかも、その組織は、国に属してないらしいんですの」




