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悪役令嬢、教会にも恨まれる
「ぐぬぬぬ!!」
教会側の出席者は、事情聴取が終わって、即座に教会へと戻った。
その顔は、怒りに染まっている。
「生意気なガキ共め!私に刃向かおうなんて、愚かなモノたちがぁぁ!!!」
怒りにまかせ、壁を殴る。
ガンッ!と、音がして、壁が揺れた。
「大丈夫ですか?」
そんなところに、幼い声が掛かった。
出席者はすぐに部屋の扉を開ける。
「これはこれは、イルデ様。驚かせてしまって申し訳ありません」
出席者はそう言って頭を下げる。
その頭を下げた先には、エリーたちと変わらないくらいの年齢であろう少年が。
「そのご様子ですと、王族方との交渉は上手くいかなかったのですね」
「ええ。そうなのですよ。あの愚かなモノたちは、必ず滅ぼさねば」
再び怒りで顔をゆがめる出席者。
その怒りのせいで、目の前の少年が冷たい目をしていることには、気づくことはなかった。




