悪役令嬢、こっちも導く
「だがなぁ。俺だって家族やエリーは大切なんだぞ」
ロメルが不満そうに言う。
ーー!え?私も大切な人の1人なんだ。どれだけ私の好感度高いのよ。
エリーはゲームなら親密度メーターが真ん中まで上がっているだろうと考えながら、ロメルへかける言葉を考える。
父親が近くにいるため、国民は捨ててもいいなどという、迂闊なことは言えない。
「そうですわね。でも、それを見捨ててまで国民をとらなければならないのが、王という最高権力者の立場ですわ。ただ、だからこそ、今みたいに王でないときや、王として選択をしなければならないとき以外に、大切な人たちとの時間を作れば良いんですわ」
エリーは優しく語りかける。
目線も優しくロメルへ向けられている。
だが、目線ではロメルを見ていながらも、全神経を父親に向けている。
自分がマズいことを言っていないか警戒しているのだ。
マズいことを言えば、父親が止めに入るはず。
だが、あまり反応を示していないので、一応大丈夫だとエリーは判断した。
「だからロメル。これからも、一緒に遊びましょう」
「っ!ああ!勿論だ!!」
実はというと、父親はエリーの言葉に反応していた。
だがその反応は、決して悪いモノではなく。
ーーいいぞ。エリー!さらに王族たちとの繋がりを強固なモノにするのだ!そして、我が家に利益を!!




