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悪役令嬢、事情聴取される
聖職者の男によって、エリーたちの予定は少し狂ってしまった。
すぐに事情聴取を受けることになったのだ。
「キッド・ポー第3士官が、あなたを侮辱したというのは本当ですかな?」
「ええ。本当ですわ。それに、王族方も侮辱なさってましたわよ」
エリーはできるだけ発言が食い違わないように心がける。
そして、できるだけ聖職者の男の罪が重くなるような真実の伝え方をする。
「……ふむ。ありがとうございました。後日また事情聴取を行います」
「分かりましたわ」
次回の聴取を面倒だと思いながらも、そんな思いはみじんも表に出さずに頷いた。
事情聴取を受けた部屋から出ると、父親が待っていた。
「あら?お父様。お迎えに来て下さいましたの?」
「当然だろう。愛しい娘のためになら、地獄にだって喜んで迎えに行くよ」
父親がくさい台詞を口にする。
どちらかと言えば、くさいと言うより胡散臭いと言った方が良いかも知れない。
「ありがとうございます。お父様」
ーー私を利用するためなら平気で嘘をつく感じね。記憶って恐ろしいわぁ。
エリーはそんな感想を抱きながら、父親に礼を言っておく。




