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悪役令嬢、無礼者に正体を告げる

「おい!訊いているのか!私は第3士官なのだぞ!このような狼藉が許されるとでも、」


「許されますわ」


エリーは冷たい声で断言する。

まさか断言されるとは思っていなかったので、聖職者の男は黙ってしまう。


エリーがその隙を逃すわけもなく、


「というか、許されないのはあなたの方ですわ。先ほどの発言は、私が公爵家のモノだと知ってのことですの?」


「……は?公爵家?き、貴様は何を言って、っ!?ま、まさか、貴様は、」


エリーの言葉が信用できずに男は騒ぐが、もう1度エリーの顔を見て気づいたようで、目を見開く。

そして、わなわなと体を震わせた。


「そうですわ。私、エリー・ガノル・ハアピですの。……まあ、でも、私などどうでも良いですわ。問題なのは、こちらの方々への発言ですわ」


エリーは軽く自己紹介をした。

それから、男の不安を煽るため、後ろの王族たちを手で示す。


「そうだな。俺たちとしても貴様の発言は到底許容できるモノではない。第3士官なんだか知らないが、先ほどの発言は王家へのモノとしては許されるモノではない」


第1王子のロメルの発言に、男は顔を青くしていく。

男はそれ以降何も言わず、大人しく護衛に引き連れられていった。

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