悪役令嬢、題材に親しみがある
「エリー。気になるの?」
第1王女のタキアーナが、エリーが1つの絵をじっと眺めていることを心配して話しかける。
エリーは難しい顔をしながら、首をかしげる。
「盗賊殺しの妖精。なんだか、親しみを感じる題材ですの。なぜかしら?」
エリーは首をかしげる。
まあ、そう思う理由は簡単。
盗賊殺しの妖精という絵の題材が、エリーだからである!
エリーは、自分が描かれている絵を見ているのだ。
「盗賊殺しの妖精。あぁ。エリーの領地で犯罪者を大量に殺害したと噂されているヤツか」
止まっている2人を心配して近づいてきた第1王子のロメルが、エリーの呟きに応える。
そこで、エリーは気づいた。
ーーそれって、私のことよね?
自分の行動に反省しつつ、別の絵に視線を移す。
「あら?こちらは、薬局関係かしら?」
「ああ。薬局の局長さんの絵ね。凄いご高齢だったんだけど、ある日突然凄く若返ったんだって」
エリーの目に入ったのは、後光の差す、年若い女性が、ボロボロの民に手を差し伸べる絵が。
すかさず、近くにいた第2王子のアロークスが絵画の解説をしてくる。
ーー若返ったの!?それは、稼げそうなネタね。




