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悪役令嬢、気を取り直して次へ
エリーはたっぷり抱きつかれた後、護衛たちの時間だという言葉で解放された。
すぐに馬車に乗り込み、次の場所へ出発する。
エリーと王族たちの指には、光る新品の指輪が。
それぞれが、大事そうに指輪を撫でながら会話をする。
「次は、美術館ですわ!」
第2王女のリファータが、そう宣言する。
美術館には、現在活躍している芸術家たちの作品が多く飾られているらしい。
どこかの世界の、古い作品ばかりの美術館とは少し違う。
この世界の美術館では、芸術家たちが1番に活躍できる場所なのだ。
「あら?あの子」
エリーの目に、外を歩いている子供の姿が映る。
エリーはその子に、心配そうな目を向けた。
「あの子、足をすりむいてるわ。痛そう」
子供は、足をすりむいていて、今にも泣きそうな顔をしている。
だが、王族たちは大して気にしていないようだった。
別に、平民などどうでも良いという理由ではなく、
「薬局がありますし、すぐにケガなど治りますわ」
「薬局?」




