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悪役令嬢、お出かけが楽しみ

エリーは外出しての遊びを約束し、帰りの馬車に乗っていた。

王城の方を名残惜しそうな表情で見ながら、未来に思いをはせる。


「王族との外出。きっと、行けるのは王族との繋がりがある場所のはず。ここでアピールするチャンスを逃す訳にはいかないですわ」


「良かったのですか?王族方が言うとおり、盗賊に襲われたときの、恐怖の傷は癒えていないのでは?」


笑みを浮かべるエリーに、専属メイドのメアリーが心配そうに尋ねてきた。

エリーと同い年の子供が、同じ状況に置かれたらトラウマになることは間違いない。


メアリーの心配は、一般的に見れば的確なモノだった。

だが、心配されているのはエリーである。


「盗賊など、今は怖くないですわ。護衛も雇いましたし。私もたしか、数秒なら耐えられると、ヒューズール様にも言われておりますし」


「左様ですか。問題ないなら、私から言うことは何もないのですが」


エリーが問題なさそうに言っても、メアリーの顔から心配の色は消えない。

仕える主人が倒れてしまって、自分の立場に影響が出ることを危険視しているのだ。


因みに、自分の財布の心配ばかりをしている忠誠心のないものと思えるかもしれないが、これでもゲーム内では、エリーの精神的な支えとなっていた存在である。

 ーー王族たちの心は開けたけど、メアリーの心はなかなか開けないわね。どこかで、もう少し距離を縮めたいのだけど。

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