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悪役令嬢、獲物が居ない
その日の夜も、エリーは漁村へ来ていた。
「ほっ!」
エリーが力を使えば、盗賊らしきものの首が飛ぶ。
そのまま、エリーは次の獲物を探すのだが、
「……いないわね」
もう犯罪者がいなくなっていた。
エリーが殺しすぎたせいで、生き残っていたモノたちも逃げてしまったのである。
貴族たちは、死んでも治安を悪化させろと指示を出した。
が、勿論そんな指示に従うものは居なかった。
「まあ、計画通りだから良いか」
エリーはそう呟いて帰路につく。
実は、コレすらもエリーの計画の内なのである。
エリーが犯罪者たちの数名をあえて見逃したのは、犯罪者が殺されていると言うことを、敵の貴族に知らせるためでもあった。
その貴族たちが、そんな指示を受ければどうなるかは、エリーには簡単に予想できた。
さて、死んでも仕事をしろと言われれば、一般人はどう思うだろうか?
もちろん、その仕事が危険なものだと考えるのだ。
よって、貴族たちが焦れば焦るほど、犯罪者たちは漁村によりつかなくなる。
エリーの計画は、効果を十分に発揮していた。




