212/3881
悪役令嬢、船に再試乗
その日、エリーは管理する漁村へやってきていた。
「エリー様。早速ですが、船を改良したので、ご使用いただきたく」
エリーは頼まれたとおりに従い、船へ乗る。
今回は、
グラグラッ!
「あぁ~。ちょっとマシになりましたかしら?」
はっきり言って、ほとんど変化がなかった。
まあ、体感では変化が感じられないだけで、実際は少しだけ揺れが小さくなっていた。
だが、その場所にいない人間というのは、結果を求めるモノである。
新規事業開発部に対して、まだ1年しか経っていないのに、成果を出せと言うようなモノだ。
エリーは株主総会などを経験して、株主から結果を出せと急かされる、その辛さを知っている。
だからこそ、決して批判することはなかった。
まあ、自分も結果を出せと急かされているので、どうしても急かしてしまったりはするのだが。
それでも、自分は何もせずに結果を求めるよりはマシだろう。
「すみません。エリー様。次こそは……おぇぇ~」
エリーは次を信じて、優しく微笑むのであった。




