悪役令嬢、調理場で伝説の武器を探す
「ねぇ。今日のご飯はなぁに?」
エリーは夕食のメニューをそこらで暇そうにしていたメイドに尋ねた。
話しかけられたメイドは、驚きで声を裏返しながらも答えた。
「ほ、本日のご夕食は、マンドラゴラのサラダと、サラマンダーのたまごのスープ。そして……」
大量の料理をメイドは必死に思い出しながら答える。
それを楽しそうに見つめるフリをしながら、エリーは調理場の観察を行った。
エリーの記憶が正しければ、この公爵家の武器は片手剣だった。
そんな片手剣が、なぜ調理場にあるのかは分からないが、エリーは必死に観察を行う。
片手剣が調理場にあるなら、非常に目立ちやすいはずだ。
だからこそ、発見は容易だと思われたのだが、
「……と、デザートにマジックアイのケーキでございます」
エリーが観察している間にメイドの説明が終わってしまった。
「ありがとう!それで、今は何を作っているのかしら?」
そんなの見れば分かる。
全て作っているのだ。
とてつもない広さと、とてつもない数の料理人。
その2つの組み合わせがあれば、全ての料理を並行で作るのが1番早いのだ。
「現在は、全て並行で作っておりますが…。あっ!アレとか面白いと思いますよ!ワイバーンの解体です。ワイバーンは非常に硬いので、包丁ではなく、片手剣を使って解体するのです」
「か、片手剣!?」




