悪役令嬢、剣を習い始める
「まあ、私の事などどうでも良いのです。お二人とも動きやすい格好をしていらっしゃいますし、早速剣の練習をすることにいたしましょう」
ヒューズールはそう言って、木剣をエリーたちに渡す。
エリーたちは各々、その短い剣を軽く振ってみる。
「それでは、まずは基本の型からお教えしましょう!」
ヒューズールはそう言って、攻撃の仕方などをわかりやすく説明していく。
エリーたちは、それを聞き逃さないように集中した。
さて、エリーは剣を習っているわけだが、コレには理由がある。
自分が敵と戦えるいいわけを作るという目的も、もちろんある。
ただ、それだけではなく、クラウンに関する目的もあった。
クラウンの戦いに関しては、独自で研究したモノであり、兵士たちの技術と比べてしまうと無駄が多い。
そのため、エリーは、クラウンのメンバーにも、もっと効率的な剣の使い方を学ばせようと思ったのだ。
自分が覚えて伝えるつもりだったが、今は運が良いことに護衛が付いている。
ということで、護衛たちにも習わせて、護衛たちから他のメンバーに伝えさせることにしたのだ。
クラウンの剣術の技術を底上げする計画。
その計画はセカンドたちにも伝えてあり、セカンドたちも真剣にヒューズールを観察している。
ただ、その心の中は、エリーが思っていたモノとは違っていた。
ーーエリー様は、この教官を見て剣を学べと言っていた。つまり、こいつの動きを見て、騎士たちの倒し方を考えとけということだよな。




