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悪役令嬢、心に入り込む
「さて、少しは楽になりましたか?」
エリーは、アロークスに問いかける。
アロークスは、顔を赤くして、
「あ、ありがとう」
と、照れくさそうに礼を言った。
エリーはその言葉を聞いて、満足そうに微笑んだ。
「意外だな。アロークスに優しくするとは思わなかった」
第1王子のロメルが、本当に意外そうにいってくる。
エリーは、その言葉に笑う。
「私が厳しく接するのは、こちらに牙を向ける相手だけですわ。牙の抜けた相手を痛めつける趣味はございませんの」
エリーがそう言うと、ロメルはそれ以上何も言ってこなかった。
そのかわりに今度は、第1王女のタキアーナが、
「アロークスの不安に気づけなかった。姉として失格」
と、落ち込んだように声を出した。
エリーは、それをしばらくなだめる作業に追われる。
ーー子供って、心が発達していくのが感じられて面白いわぁ。




