悪役令嬢、隙間に入り込む
「皆様、こんにちは」
「ああ。エリー。来たか」
「エリー。いらっしゃい」
アロークスを救出した次の日、王族たちの心のケアを含めて、エリーが話す時間が設けられた。
エリーは、王族たちに出迎えられ、部屋に入る。
そして、エリーは、顔を下げているアロークスに抱きついた。
「えっ!?ちょっ!?」
いきなりのことに、アロークスの脳は追いつかない。
エリーはそのまま、アロークスの頭を撫で、
「殿下。辛ければ、泣いても良いんですのよ。ここには、私たち以外誰も居ないのですから。他に見ているモノはおりません」
エリーは優しく囁く。
エリーの言うとおり、現在、使用人たちは部屋から出ていた。
「べ、別に辛くなんて、ない」
そういうアロークスの言葉には、力が無かった。
エリーはさらに囁く。
「私も盗賊に襲われ、死の恐怖を味わいましたわ。でも、1度泣いてみて、誰かに不安を吐き出すと、不安は小さくなりましたの。殿下も、少しは心の内を、誰かに見せてみては如何ですか?」
まあ、エリーには恐怖など無かったわけだが。
だが、共感という武器を使った、その心に入り込んでくる言葉は、アロークスには効果てきめんだった。
「うっ!くっ」
エリーは自分の服がぬれるのを感じながら、アロークスの頭をなで続ける。




