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悪役令嬢、推測される
「クラウン、か」
アロークスの父である国王が、アロークスと騎士長の話を聞き、重々しく呟いた。
王にとって、クラウンはどういった立場なのか分からず、関わる情報がほとんど無いため、とても判断に困る存在なのだ。
「王よ。申し訳ありません。私たちの力が無いばかりに」
「よい。貴様はアロークスを救出するという役割を果たしたのだから」
頭を下げる騎士長に、王は許すと伝える。
そして、その視線をアロークスに向け、
「アロークスよ。貴様はどう感じた?」
「私は、クラウンの1人と話しました。彼は、自分は悪でも善でもないが、闇を支配する存在である。といったようなことを口にしました」
「闇を支配する、か。……もう少し裏社会への間者を増やすべきだな」
王はそう言って、近くの近衛に耳打ちする。
近衛はどこかに消えていったが、その近衛が裏社会への対応を任されたのは、アロークスにも分かった。
これで、国の対応は決まった。
そして、その様子を眺めるモノたちが居ることなど、誰も気づくことはなかった。




