悪役令嬢、惜しまれる
『ごめんね。姉さん。姉さんが僕たちの仲を邪魔するのが悪いんだよ』
ムダにフルボイスなエリーの弟の声とともに、ゲーム内でエリーが死んだ。
そんなゲーム画面を、悲しそうに見つめる人物が1人。
「ハァ~。エリーは闇の組織好きの仲間だし、絶対に良い娘だと思うんだけどなぁ」
黒くて長い髪を後ろで束ねたOL、竹内 明日花はため息をついた。
明日花は《異世界ホスト》というクソゲーをやっている。
異世界ホストは、自分の好きなキャラを選んでいって、好きなキャラだけで逆ハーレムを作れるという画期的な(?)システムを導入した乙女ゲームなのである。
「なんで、エリーはこんなに不遇なのかしら」
と言って、明日花は頬をプクゥと膨らませる。
明日花にとって、エリーはこのゲームの中で唯一共感できるキャラなのだ。
基本的にこのゲームは男どもがチョロい。
そして、女どもは妙に知能指数が低いのだ。
そんなゲームで、共感できるキャラなどほとんど居るわけがなく、明日花は唯一同じ趣味を持ったエリーにだけ共感できたのだ。
「この世は不条理ね。ハァ」
最後にため息をつき、ゲームのカセットを変えようとする。
その時だった。
ピカッと、ゲーム画面が光り出し、