悪役令嬢、クラウンを呼び寄せる
「はぇ?………も、もう1度お伺いしてもよろしいでしょうか」
エリーは自分の耳を疑った。
父親もその気持ちは分かるようで、もう1度ゆっくり伝えてくれる。
「アロークス殿下が、攫われた」
「………ちゅ、忠告致しましたのに!!」
エリーは目を覆った。
せっかくエリーが忠告したのに、アロークスは聞かなかったのだ。
ーーん?アロークスの誘拐?それって、ゲームで出てきた話な気がするけど。
エリーは、アロークスが正義という、呪いに取り憑かれるストーリーを思い出した。
エリーの知るストーリーでは、アロークスが誘拐されるときに、大切な物をなくす。
それによって、自分から大切なモノを奪った悪を、許せなくなり、正義というモノに執着してしまうようになるのだ。
そして、その大切なモノが、姉である第1王女、タキアーナの命。
アロークスをかばって死んでしまうのだが、
ーー護衛を増やしたから安心、タキアーナが死ぬことはないのね。まあ、彼女は優秀みたいだし、生き残ってて悪いことはないでしょう。
………。
夜になり、エリーは行動を起こした。
「セカンド。仲間を集めてこい。アロークスを救出したい」
「すでに手配している」




