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悪役令嬢、帰りの馬車で
エリーは、自宅へ帰宅する馬車の中、メイドのメアリーに話しかけていた。
「今日の私の対応はどうだったかしら?」
エリーの今日の対応の感想を尋ねる。
メアリーは、できるだけ当たり障りのない回答を考え、
「とても素晴らしかったと思います。殿下達とご友人になれたのですから、きっと、公爵様もお褒めになられるでしょう」
と、答えた。
持ち上げすぎにはならない程度で、シッカリと褒める。
「良いですわね。私、そういう無難な回答、嫌いじゃないんですの」
エリーの言葉に、メアリーは苦笑いで返した。
エリーにそういうことは分かっていないと思っていたのだ。
メアリーの中の、エリーの評価は低くない。
下手な貴族よりも頭が良く、立ち回りが上手く、その知恵で他者を陥れようともしない。
そんな人物がすぐに失脚するとは思えない。
だから、そういう人物の元なら安定して働けると思うのだ。
安定した職業は、この世界でも好まれるのである。
「帰ったらキシィお母様とのお勉強ですわね。それまでにお茶の用意をお願い致しますわ」
「承りました」




