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悪役令嬢、王族に名前を聞く
「ふふっ。随分と嫌われておりますわね。……こちらの椅子に座ってもよろしいでしょうか?」
嫌われていることは理解しているとアピールしつつ、エリーは着席の許可を求める。
第1王子が黙って頷いた。
ーー全く会話をしないつもりね。どうしようかしら。
エリーは王族たちにどう対応するか考える。
正直、エリーとしては好かれる必要は無いと思っている。
まあ、王族と関わりたくないという考えは元々有ったので、そう思うのは当たり前である。
だが、このまま全く王子たちとの関係が向上しなかった場合、恐ろしいことが待っている。
それは、父親が怒ることだ。
軽く怒るだけで兄を怯えさせる程度の迫力はあるので、本気で怒ったときには……。
まあ、ただ怒られるだけならそれでいい。
だが、問題なのは何かの制限をつけられることだ。
領地の没収などされたらたまったモノではない。
ーーある程度の関係を作ることは必要ね。
「殿下方。せめてお名前くらいは教えて頂けますか」
とりあえず、自己紹介を促してみる。
数秒続く無言の後、
「それじゃあ、俺が名乗ってやるか」




